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社会保険料はこうやって決まる(社会保険料の基礎知識)

このページでは社会保険料を算出する際の基礎知識をなるべく簡潔に説明しています。

 

社会保険料とは、一般的に「健康保険料」、「介護保険料」、「厚生年金保険料」の3つを指すことが多く、それぞれ次の計算式で算出されます。

 

「交通費など各種手当を含んだ給与額×料率」

 

ただし、実際には給与額に直接料率を掛けるのではなく、給与額を元に算定した等級に対して料率をかけます。

 

そのため、社員個別に給与額を元に等級を算出する作業が必要となりますので、順次解説します。

 

目次

1.入社時の社会保険料の決定

社会保険料の一覧表はこちらからダウンロードできます(健康保険が協会けんぽの場合)

 

基本的には上記の表の中で最新版をご覧ください。

このHPでは説明用として平成31年4月分の表を使用しています。実際には最新の表をご確認ください。

まずは、入社時の給与から社会保険の等級を確定します

まずは、社員が入社したタイミングで、その社員が社会保険料表の中でどの等級にあたるかを確認します。

 

1ヶ月の交通費など各種手当を含んだ給与額が、社会保険料表の「報酬月額」のどこに当てはまるかを探すだけですので、この作業は簡単です。

 

給与額が20万5000円の人を例に説明します。

表の中の報酬月額をご覧ください。

 

 

給与額が20万5000円の場合、195,000円~210,000円に当てはまるので、17等級の月額20万円の等級となります。

入社時に決まった等級は、基本的に変わることがありません。ただし、例外が2つありますので後ほど説明します。

 

健康保険料の算出(40歳未満または65歳以上の社員場合)

上記で、給与額が20万5000円の場合、等級は20万円の等級と分かりましたので、次は健康保険料の算出を行います。

40歳未満または65歳以上の場合は、以下の「介護保険第2号被保険者に該当しない場合」を参照します。

つまり、この例の場合は健康保険料は10,240円となります。

 

健康保険料の算出(40歳以上で65歳未満の社員場合)

40歳以上で65歳未満の場合は、介護保険料が上乗せされるため保険料が若干高くなります。

以下の「介護保険第2号被保険者に該当する場合」を参照します。

つまり、この例の場合は健康保険料は11,970円となります。

 

ただし、厳密に言うと正しくは健康保険料が10,240円、介護保険料が1,730円、その合計が11,970円です。

 

給与計算ソフトによっては、健康保険料と介護保険料の項目が分かれている場合がありますので注意してください。

 

厚生年金保険料の算出

厚生年金保険料の金額を確認する方法も基本的には同じです。

同じ表の中で、厚生年金保険料の列を確認します。

つまり、この例の場合は厚生年金料は18,300円となります。

 

結果、今回の例では次のように決定しました。

 

40歳未満または65歳以上の社員場合

健康保険料10,240円、厚生年金保険料18,300円

 

40歳以上で65歳未満の社員場合

健康保険料10,240円、介護保険料が1,730円、厚生年金保険料18,300円

 

 

以上が、社会保険料を決定する基本的な流れです。

 

2.既存社員の社会保険料は年に1回変わる

既存社員について、毎年7月に社会保険料に関する届出を行う必要があります。

 

毎年4月、5月、6月に支払った給料を届出して、その3ヵ月の給料を平均表して、改めて社会保険の等級を決定するという作業です。

 

※社会保険料を決定するのではなく、あくまで等級が決定されます。

 

この手続で算定された等級は、その年の9月分~翌年8月分までの固定され、その期間は基本的には変わることがありません。

 

 

残業代がついたりして、その月の給与額が上がったとしても等級は変更しませんし、臨時的な特別手当が付いたとしても変更しません。

 

 

つまり、入社後は基本的には毎年4月、5月、6月の給与によって等級が決定し、その等級に応じて社会保険料が決定することになります。

 

3.昇給、降給額が大きい時の例外

上記のとおり、一度決まった保険料の等級は基本的に変更しません。

 

 

それは昇給や降給があったときでも変更されません。

 

しかし、昇給、降給が大きい場合に例外があります。

 

どういったときに例外が発生するかと言いますと、大きく昇給・降給した結果、現在の等級より2等級以上変化する場合です。

 

例えば、給料が20万5000円の人がいたとして、その人が7月に2万5000円昇給して23万円になったとします。

この人は現在20万円の等級に属します。

 

 

その人が23万円に昇給したので、改めて等級表に当てはめてみます。


すると、現状の20万円の等級から24万円の等級に2等級上がりますので、例外に当てはまり社会保険料が変更されます。

 

ただし、すぐに変更されるわけではなく、昇給後の3ヶ月平均の金額を表にあてはめるため、昇給後はすぐに上がりません。

 

例えば、7月支払い分から昇給した場合は、7月、8月、9月を平均して算出するため、変更されるのは10月分からとなります。

 

昇給・降給時の注意点

昇給、降給があっても、1等級までの差の場合は、変更されません。

例えば、給料が20万5000円(20万円の等級)の人が、5千円昇給してで昇給後の額が21万だった場合はどうなるでしょうか。

 

この場合、1等級しか上がらず、例外には当てはまらずに今まで通り20万円の等級のままとなります。

 

3ヶ月の平均は残業代を含みます

上記のように昇給額が少ない場合は、基本的に等級は変わりませんが、昇給後に3ヶ月平均をとる場合、残業代を含んで計算します。

 

そのため、昇給した後の3ヶ月にたまたま残業代が多い場合、2等級以上上がる場合がありますので注意が必要です。

 

 

以上が社会保険料を決定するルールです。

細かな例外はありますが、基本的には上記を覚えておけば大丈夫です。

 

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